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言語学修士課程を修了しました!👏🎉@ドイツ

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みなさんこんにちこんばんは。修士課程が始まってから、ほぼブログが更新できないうちに卒業する流れになりました。在籍期間はまさかの7学期。規定では4学期ということになっているので、ほぼ2倍の期間に渡ります。ただ、在籍期間3年半というのは、わたしの大学ではごくごく平均的な値だそうです。なぜそんなに長くかかったのか、そもそもドイツの文系修士(M.A.)はどんな感じなのか、忘れないうちに記事にまとめようと思います。2月に卒業したはずが、いつの間にか既に4か月経過していますが、ご了承ください。

 

①自律を求められる

学部以上に自由な修士課程。どの授業を選ぼうと、どう組み合わせようと、どれだけ潜ろうと、どれだけサボろうと、誰も気にしないしチェックも一切ありません。自由度が高いという面でかなりの利点になりうるこのシステムですが、気を付けないと現状維持を数年間続けることになります。学部時代から、長いこと修士課程に通う日本人学生を見ながら不思議に思っていたのですが、自分が同じ立場に置かれてみるとあら不思議、なぜか数年が溶けていました。

一応入学時に大まかな目標と達成するタイミングを設定していたはずなのに、途中で完全にエネルギーが切れて、2021年春から2022年暮れまでの2年弱「残すはゼミ論一つと修論だけ」なんて言い続けることになりました。おそろしや。

問題があるとすれば、滞在許可の更新です。これには大学の事務局で卒業見込みの時期を判断してもらう必要があるのですが、上記の通りわたしはこれでも平均的な在籍期間が終わるタイミングで卒業できたので、特に問題ありませんでした。

 

②いろんな課題を並行してこなす必要性

長い修士生活を送ったとはいえ、そのうち1学期は一応仮入学という扱いでした。というのも、ドイツには Konsekutiver Master という謎制度があり、学部課程と同じ科目に進学する場合、学部の卒業見込みさえあれば修士課程に通いながら学士号を取得することが可能なのです。ただしタイムリミットは最初の1学期。もし学部の卒業が間に合わなければ、次の学期はまた学部生として過ごし、次の年度にまた修士に入りなおすという形になっています。

わたしは学部と同じ大学に進むことに決めたのですが、理由は何といっても研究室でアシスタントのバイトができたから。こちらは、ドイツ語名で SHK (Studentische Hilfskraft)あるいは Wissenschaftliche Hilfskraft (HiWi) と呼ばれています。滞在許可の面でも大きなメリットがあります。アカデミアに進む際の登竜門とも言われ、研究にも片足を突っ込みたかったわたしは、学部時代に拾ってもらった音声学の研究室で働き続けるためにあえて同じ環境に留まることに決めました。

ただ、修士に通いながらバイトをこなし、卒論のデータ収集・分析・執筆を期限内に終わらせるのはかなりのハードスケジュールでした。今思えばきっと、このタイミングでひっそり心が折れていたんだと思います。

 

③現状維持が苦にならない

何が怖いって、同じ都市で数年暮らしていると、経済的な自立もできて、軽々現状維持ができてしまうこと。学費や交通費が安いため借金もしなくていい、たまにカツカツの生活を強いられることになっても基本的に食いっぱぐれることはない、という状況になると、人間そう簡単に環境を変えようとすることはないんだなあということを実感しました。

友達もいるし、周りもみんな似たような状況だし、学部を卒業して就職した友達もそんなに金銭的なメリットがないらしいという認識だったので、なおさら修士を早く終えて定職に就くという選択肢が遠のいていたような気がします。修士の終わりごろには別のバイトができる環境も整えて、ますます快適な生活を送れるようになったのもあって、大学の課題をこなすモチベーションが一切見えなくなっていました。

ただし、当時はどうやらドイツで指標とされる貧困ラインを優に下回った生活を送っていたという事実に気付いたのは、つい最近です。

 

④コロナ

何といってもこれは一大要因です。おそらく、普通のキャンパスライフを送れていたならこんなに長いこと大学に残り続けることにはならなかったはずです。1学期目も終わりに近づき、ちょうどこれからテスト期間が始まるというタイミングで大学が完全に閉鎖されたため、6学期ずっとコロナと共に大学生活を過ごすことになってしまいました。オンライン授業はもう全く向いていなかったようで、パソコンの雑音が気になって集中できなかったり、話し始めるタイミングが一切掴めずオンライン会議恐怖症になりかけたのはちょっとしたトラウマです(外国語なので意味不明さは数倍)。

痛かったのは、イギリス留学計画の頓挫。本当なら3学期目はイギリスに留学するはずが、全部オンライン授業になってしまったばっかりに、日本に帰って時差ボケと戦いながら夜中3時にゼミを聴講する羽目になりました。やれやれ。

ドイツのぬるま湯みたいな環境に慣れ切ったわたしには、イギリスの大学の厳しさは予想外でした。コロナ禍の影響をもろに受け、心身の調子を大幅に崩してしまったため、課題の提出が数日遅れることになってしまったのですが、えげつないペナルティを食らいました(10%減点)。メリットをもらった科目もごく普通の成績になってしまったり。これで完全に修士に対するやる気が削がれたのも事実です。

 

⑤卒業そのものがリスク

さて、おそらく日本人学生がぶち当たる壁で一番高いものがこれでしょう。ドイツにも、日本と同じく理系・文系のような区分があり、修士号の呼び名が異なります(Master of Science - M.Sc / Master of Arts, M.A. など)。専門性という強い武器を持つ理系科目ならまだしも、ドイツ人学生ですら就職に苦難すると言われる文系科目を専攻していると、正直な話、卒業後の見通しが一切付きません。語学の壁や就活の独特すぎる文化、何度失敗しても諦めないバイタリティーを求められることを想像するだけで、肌寒くなるものです。大学生活はこなせても、ネイティブに勝る自己アピールが思いつかないと正直かなり厳しいものがあります。

怖いことに、大学生というステータスを失った瞬間から交通機関の乗り放題チケットや保険料の減額などの恩恵を受けられなくなるばかりか、滞在許可が切れるまでのカウントダウンが始まってしまいます。現地の大学を卒業すると、職探しの期間にもらえる18か月分の滞在許可がもらえるのですが、1年半で何も見つからなかったら、慣れ親しんだ環境から放り出され、しばらく入国さえできないという状況にもなりかねません。くわばら。まさにこの動画みたいな感じ。

参考: Uyen Ninh - Instagram: "Graduating is great, and what comes after is a new chapter of challenges and opportunities. It might be hard but hang tight, you got this!!!"

 

さて、ちょっとばかしネガティブな内容になってしまいましたが、これがわたしの修士生活の感想です。こちらで出会った日本人学生も、「その後」のことで悩んでいる印象を大いに受けました…。

言語学は戦略次第でそれなりに潰しが効く科目なので、在籍している間から先を見据えてスキルを身に着けていけば怖いものはあまりない印象も受けます。その分時間も取られて卒業が遅れるという負のスパイラルには注意が必要ですが。

 

最後に、卒業につながったきっかけについて。バイト先の同僚で、研究員として働いていた博士課程の学生が長い期間産休・育休に入ることになったため、ピンチヒッターとして私に白羽の矢が立ちました。それが決まってからは急ピッチで修論のデータ収集・分析・執筆を終わらせ(デジャヴュ)、ぬくぬく修士生活にピリオドを打つことになったのでした。そして流れで博士課程に進学し、今に至ります。

期間が決まったプロジェクトのため、契約終了後どうなるかは一切不明です。この空白が一番怖かったのに!何が起きるかはわからない、それもまた人生かなあと思ったり。

 

それではまた☺

 

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